Written By: 遠野秋彦
町一番の美少女は頭巾に墓があしらってあった。
あの墓は誰の墓だろうとみんなが噂をした。
そして付いたがあだ名が墓ずきんちゃんだった。
ある日、一人の男が思いきって質問した。
「その墓は誰の墓ですか? 死んでしまった好きな人の墓とか?」
墓ずきんちゃんは答えた。
「誰の墓でもないの。私は墓が好きなの」
墓ずきんちゃんはただの墓好きだった。
その日から、墓ずきんちゃんのあだ名は、墓好きちゃんに変わった。
(遠野秋彦・作 ©2023 TOHNO, Akihiko)